名物おじさんとの対決

 大学病院に入院してた頃。
 大きな病院なので、設備も充実していました。売店では、大抵のものが手に入ります。 更に、病室から出られない患者のために、決まった曜日にはワゴンで病棟を回ってくれるのです。 入院初期から車椅子だったので、とても便利でした。

 売店は3つあり、ほぼ何でも揃うコンビニ形式のお店、 牛乳屋さんがやっている、飲み物と乳製品のみを扱っているお店、介護用品や、郵便・電報を扱うお店がありました。
 そのうちコンビニと牛乳屋さんが、ワゴンで回ってくれるのですが・・・

 コンビニの方は、お姉さんが病室毎に「売店です、御用はありませんか?」と聞いてくれます。 なので、声をかけてくれたときに返事をすれば待ってもらえるし、病室の中までお姉さんが来てくれたりもします。
 でも、牛乳屋さんの方は・・・
 おじさんが「はい牛乳ですよ〜 牛乳屋ですよ〜」とすでに名物化している節回しで、病棟を一回りするだけ。 当時大部屋でも、私のベッドは窓側、つまり廊下からは離れていました。 おじさんを呼び止めるには、病室の奥から大声で声をかけなければなりません。
 ヘンなところで気の小さい私にとって、それが至難の業。毎回遠くからあの声が聞こえてくると、 体勢を整え、お財布を用意し、タイミングを計る。
 来た!「おじさ〜ん!」
 その一言が、どうしても出てこない・・・
 かといって、おじさんが来てから車椅子に乗って向かっても、時既に遅し。おじさんははるか遠くへ・・・

 おじさんとの密かなバトルは、ことごとく私の負け。
 結局戦いを挑む事を諦め、飲み物はコンビニのワゴンが来た時に、まとめ買いしてました。

 どうやら私は、勝手のわからない場面になると、かなりの引っ込み思案のようです。
 初めての場所、初めての行動・・・初対面ってのは平気なのに(笑)

 ちなみに、コンビニでは雑誌も扱ってましたが、PC関係はあまり置いていませんでした。 しっかり入院1週間目に取り寄せを頼んで、ワゴンが来る時に配達してもらってましたが・・・(笑)
 当時配達してもらってた雑誌は、an-an、TVガイド、週間アスキー・・・
 組み合わせがヘンって、お見舞いに来た友人に言われました(笑)
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